Environmental Initiatives

環境への取り組み

水なし印刷

水なし印刷は、印刷に必要な大量の水を使わず
有害な有機溶剤等を排出しない画期的な技術です。

一般に行われている「水ありオフセット印刷」は、文字通り印刷工程において水(俗に湿し水といい、H液やIPAなどの有機物質が含まれています)を使用し、その水が油をはじく性質を利用してインキがつかない部分を作り出しています。「水なし印刷」は、刷版の版材がインキをはじくという特製を利用し、インキのつかない部分をつくり出すことから、水を全く使用せずに印刷することが可能です。またシリコン層現像工程は、回収廃液が発生しない水現像方式ですので、現像液使用量・廃液量も大幅に低減できます。

 

WPAマーク(ウォーターレスマーク)

水なし印刷協会の認定を受けた会社が「水なし印刷」で制作した印刷物に、このロゴマークを入れることができます。
Waterless Printing Association
(アメリカ・シカゴ 水なし印刷協会)

 

水あり印刷と水なし印刷の比較

●印刷工程

H液:湿し水に添加する大幅に印刷力を引き上げる薬品。H液にはバクテリアの好餌となる有機物質がふんだんに含まれている。
BOD:水中の有機物が微生物によって一定時間内に酸化分解される時に必要な酸素量を表す。有機物による水の汚染度を表す目安として生物化学的酸素要求量と呼ばれている。
COD:水中の有機物が酸化剤で化学的に酸化分解される時に必要な酸素量を表す。有機物による水の汚染度を表す目安として化学的酸素要求量と呼ばれている。

印刷時の廃液が発生しない優れた環境適応性

通常の印刷(水あり印刷)で使用している湿し水には、H液やIPA(イソプロピルアルコール)などの有害物質が含まれており、常に大量の有害物質を使用しているのが現状です。右表の比較試験結果では、「水あり印刷」の湿し水から下水廃水基準値(600mg/l)の約34倍ものBODを検出。CODも限定基準値をはるかに超えた数値が検出されました。これに対して「水なし印刷」は、有害な廃液を含む湿し水を一切使用せず、現像工程の現像液使用量・廃液量も大幅減。環境への負荷が格段に少ないことが明らかにされています。

水なし印刷でSDGsに貢献

水なし印刷は、有害物質を出さないことで環境にやさしいだけではありません。
環境面以外にも様々な面でSDGsと関わりがあります。例えば、湿し水を使わないことによる「資機材の劣化を抑える」効果や、印刷オペレーターの作業負荷が削減されたことによる「働き方改革への貢献」効果もSDGsの目標達成に貢献しています。
SDGsは、2030年に向けた持続可能な開発に関する地球規模の優先課題として17のゴール(目標)を掲げています。
水なし印刷は、次のようなSDGsの項目に関連があります。

ゴール3「すべてに人に健康と福祉」
▶ 有害化学物質の排出の抑制(ターゲット:3.9)

ゴール6「安全な水とトイレを世界中に」
▶ 汚染の減少、有害な化学物質や物質の投棄削減と最小限の排出、未処理の下水の割合半減、リサイクルと安全な再利用を世界
全体で大幅に増加させ、水質を改善する。(ターゲット:6.3)

ゴール8「働きがいも経済成長も」
▶ 水なし印刷で働き方改革・職場改善(ターゲット:8.5&8.8)

ゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
▶ 環境に配慮した技術・産業の拡大(ターゲット:9.4)

ゴール12「つくる責任、つかう責任」
▶ 製品のライフサイクルを通じて化学物質やすべての廃棄物の環境に配慮した管理を達成し、大気、水、土壌への排出を大幅に
削減すことにより、ヒトの健康や環境への悪影響を最小限に留める(ターゲット:12.4)
▶ 廃棄物の発生防止、削減、リサイクル、およびリユースにより廃棄物の排出量を大幅に削減する(ターゲット:12.5)

ゴール13「気候変動に具体的な対策を」
▶ 気候変動に起因する危険や自然災害に対するレジリエンス、および適応力を強化する(ターゲット:13.1)
▶ 気候変動の緩和、適応、影響軽減、および早期警告に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する(ターゲット:
13.3)
ゴール14「海の豊かさを守ろう」
▶ 陸上活動による海洋堆積物や富栄養化をはじめ、あらゆる種類の海洋汚染を防止しする(ターゲット14.1)

ゴール15「陸の豊かさも守ろう」
▶ 国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地、および乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系およびそれら
のサービスの保全、回復、および持続可能な利用を確保する。(ターゲット15.1)
▶ あらゆる種類の森林の持続可能な管理の実施を促進し、森林破壊を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で植林と森林再
生を大幅に増加させる。(ターゲット15.2)

VOC削減とCO2排出量の削減

水なし印刷によるVOC削減と、カーボン・オフセットによる二酸化炭素排出量の削減(相殺)のミックスによって、より環境に配慮した印刷物の普及拡大に取り組んでいます。

●カーボン・オフセットとは
日常生活や生産行動の中で発生するCO2を、排出権の購入により排出削減事業への投資を行うことで相殺(オフセット)する取り組みです。
カーボン・オフセットについて詳しくは、 下記の日本WPAのホームページをご覧下さい。
一般社団法人 日本WPA
https://www.waterless.jp/
カーボン・オフセット
https://www.waterless.jp/personal/personal_co/

●バタフライCO2ロゴ
日本WPA会員が作成したカーボン・オフセット印刷物には、下記の専用ロゴ上で印刷物の製造・流通・破棄に要した1部あたりの二酸化炭素排出量を明示したロゴを使用します
カーボン・オフセット
https://www.waterless.jp/personal/personal_co/